在外邦人選挙権に関する過去の投稿
高瀬会長から海外有権者ネットワークに関する投稿がありましたので以下掲載いたします。
第20回参議院議員選挙を終って
海外有権者ネットワークLA 会長 高瀬隼彦
先日行われた参議院選挙の結果、自民党の凋落、民主党の躍進により2大政党化に拍車がかかり、次の総選挙では政権交代も有り得ると取り沙汰されています。
それは兎も角として、私達海外に住む日本人にとって今回は第4回目の在外選挙となり色々な意味で画期的な選挙となりました。一番大きく変わったのはこれまで郵便投票しか認められていなかった邦人の多い大都市、北米でいえばニューヨーク、ロスアンゼルスなどの6大都市で、公館投票が始めて実施されたことです。
郵便投票はそのプロセスが極めて煩雑である上に、投票しても自分の一票が果たして締め切りまでに選管に届いたどうかが判らないので投票意欲を削ぐ大きな原因になっていました。公館投票の実施に対応して、総領事館では館内の改装のほか、在外選挙人登録受け付出張サービスや、PRをこれまでになく積極的に行いました。羅府新報を始めとする邦字新聞に毎日のように広告を載せ、日本語テレビでも頻繁に広告が放映されました。投票期間は公示の翌日、6月25日から7月4日までの午前9時30分から午後5時までと定められましたが、その間2度ある週末、特に7月4日の独立記念日の休日も、昼休みも開館するという、とてもお役所とは思えないサービスぶりでした。
投票受付開始の25日午前9時半には、日系メディアが取材に集まるというので、有権者ネットワークなどの有志に呼びかけ、私達夫婦も投票にでかけました。総領事館の地下駐車場に駐車すると駐車料がかなり高いので、メトロレッドラインや、ダッシュB等の交通機関を使うか、誘い合わせてカープールで行くという手もあります。投票の際には在外選挙人証と旅券、運転免許証等を持参、受付後記載ブースで投票用紙に記入、2重封筒に封をしたものを受付係りに渡し、選挙人証に投票済みのハンコを押して貰って投票が完了します。海部領事陣頭指揮の総領事館員の応対も皆丁寧で気持ちがよく、とてもスムーズに投票することができました。ただなんとなく物足りなかったのは、私は以前から投票箱のスリットに投票用紙を差し入れる場面を想像していたのですが、実際は受付係りに票を手渡すだけだったので、この点について担当の川畑領事に伺ったところ、日本の投票所とは異なり公館投票では記載済みの投票用紙を日本全国の選管に仕分けして届けなければならないので、投票箱の使用は無理という答えで納得しました。投票用紙に書き込む時、過去10年の在外投票運動を思い返し、遂にここまで来たかと感慨無量でした。
その後、7月4日の投票終了時まで投票は滞りなく行われ、ロスアンゼルス総領事館での投票総数は509票だったということです。今回まで邦人の多い大都市で公館投票を認めなかった理由は「一度に大勢の有権者に押しかけられると対応ができない」というものだとされていますが、全く有権者無視の言い分で、やる気さえあれば立派にできる事が今回証明されました。仕事なのだから当り前だと言う人もいるかも知れませんが、私としては総領事館あげての献身的な努力に心からの敬意を表したいと思います。
次に画期的な出来事は、今回の選挙で始めて海外の日本人が国政選挙に挑戦したことです。パラグアイの邦字紙「日系ジャーナル」の社長で海外日系新聞協会の会長も勤めた高倉道男氏ですが、高倉氏は第1回目の在外選挙の後、その低登録率と低投票率では折角獲得した在外選挙権の存続も危ないと感じ、自分を人寄せパンダと称して3年の準備の後、今回の参議院選挙に立候補しました。自民党の公認をとりつけたまではよかったのですが、残念ながら12,416票で自民党比例代表の最下位に終り、涙をのむ結果となりました。
今回の在外選挙を総括すると、総務省の発表では在外選挙人名簿登録者数は80,885人、在外選挙人による投票総数は20,551票、そのうち在外公館投票によるものは16,209票、その差4,342票は郵便投票と帰国投票によるものと思われ断然公館投票が多くなっています。投票率は25.4%。これを第1回目の衆議院選挙と比較すると、登録者数約59,000人、投票総数17,000票で投票率は28.8%。今回投票率はやや下がっているものの大差なく、登録者数、投票数は着実に増えており、今回の制度改正やPRが効果を現すのは次の選挙からと思われるので、在外選挙制度はほぼ定着したと考えてもいいでしょう。
後は時間の問題で、登録者数と投票数を順次増やして行き、選挙区選挙の実現や、海外区の設置など将来の在外選挙の発展と拡大に更に努力を続けてい行きたいと思っています。 (完)